HDDが動かなくなった!HDDのデータを救出するには?
HDDが動かなくなった! HDDのデータを救出するには?
ある日突然、パソコンが起動しなくなった。しかもHDD(ハードディスク)の回転音も聞こえない。仕事中にこんな事態に遭遇したら、たちまちパニックになるのではないでしょうか。
最近ではHDDの信頼性も向上していますが、HDDは機械部分が多いだけにトラブルが全くないとはいえません。ここでは、HDDに関するトラブル対処法をみていきます。
HDDの中身はどうなっているの?
普段は意識しませんが、ほとんどのパソコンにはHDDが入っていて(最近ではSSDが増えてきました)、その中にWindowsやMac OSなどのOS(基本ソフト)やアプリケーションソフト、ユーザーが作成したデータが書き込まれています。そして、少し気をつけてみるとわかりますが、データの読み取り/書き込み時には、HDDからかすかな音がしています。その音が、HDDが多くの機械部品から成り立っている証拠です。
では、HDDの構造を簡単に説明します。HDDには、その名の通り「ディスク」すなわち円盤が入っていて、ここにデータを記録します。この円盤を「プラッタ」とも呼びます。一方、ディスクの外側にアームがあり、ディスク上を動く小さな磁気ヘッドを支えています。ディスクをレコード盤に例えると、レコード針に相当するのが磁気ヘッドです。レコードと違うのは、ディスクと磁気ヘッドが接触していない(隙間がある)ことです。
ディスクとアームは別々のモータで動きます。ディスクが回転し、アームが動いて磁気ヘッドの位置が変わることで、ディスク上の適切な位置でデータを読み書きしています。
HDDが正常に回転しない! そのトラブルの原因は?
HDD内部が機械部品でいっぱいであることは、イメージしていただけたかと思います。HDDのトラブルの中で代表的なのが、はじめに挙げた「回転音が聞こえない」という症状です。
これは専門用語で「スピンアップしない」などといいます。全く動かない場合もあれば、何度も回転させようとするが回転しない、具体的にはHDDから異常に大きな音が出ているような場合(スピンアップ失敗)も該当します。
この状態になるとディスクが正常に回転しないのですから、当然、データの読み書きもできません。したがって、ディスクに書き込まれているWindowsやMacも起動せず、パソコンそのものが使えない状態に陥ることになります。
IT機器の中でみれば、HDDは機械の塊です。そのため各部の経年劣化によって不具合が生じます。しかし、HDDが回転しない症状の多くは、内蔵された基盤、主にモータを制御する回路に不具合が生じ、十分な電力が供給されなくなるために起こるといわれています。
このほか、パソコン本体を落とすなどして大きな衝撃や振動が加わると、本来隙間があるはずのディスクと磁気ヘッドが接触、つまり「ぶつかって」しまって、それが原因でディスクに傷が付いてしまい、読み書きができなくなるトラブルにまで発展することもあります。
HDDトラブルは上級者でも解決困難、早い段階で専門業者に相談を
「基盤の不具合が原因なら、基盤を交換すればよいだろう」と考えるかもしれません。
ネット上にはその種の記事も散見されますが、そう簡単にはいきません。HDDのディスクと基盤との間には、かなり詳細な約束事があり、メーカーや製品、製造ロットによっても細かく違っています。同じ製造ロットであっても中身のパーツが違うということもザラです。そのため、単純に基盤だけ交換しても、正常に読み書きできる可能性は低いのです。
また、HDDのメーカー保証期間内だから大丈夫だと考える方もいます。しかし、メーカーが保証してくれるのは、あくまでもハードウェアとしてのHDDです。たとえ無償で修理できても、HDDが交換されるだけなので、中のデータはほとんどの場合、救出されません。
HDDのトラブル解決は、パソコンに相当詳しい人でも失敗するケースが目立ちます。ましてや、詳しくない一般のユーザーが簡単に手を出せる分野ではありません。また、ディスクに傷が付いているケースでは、電源を入れただけで症状が悪化して、トラブルが拡大することも考えられます。HDDにこうした不具合を見つけたら、できる限り早い段階で専門の復旧業者に相談し、重要なデータを失わないようにすることが最善と対応といえます。