HDD(外付け・内蔵)データ復旧サービスを比較するときのポイント
外付け・内蔵HDD(ハードディスク)に不具合が発生して、中のデータが見られなくなってしまったとき…。慌てず、まずは冷静になって「データ復旧ができる可能性」に目を向けましょう。
データ復旧を専門に扱う業者がサービスを提供しています。専門業者によって、データ復旧できる対応機器や復旧できる範囲、料金などのサービス内容が異なりますが、頼もしい存在です。
そこで今回は、データ復旧サービスを選ぶときの比較ポイントについてご紹介します。
データ復旧を初めて依頼するがどの業者に依頼すればわからない、費用の相場がわからない。そんなお悩みをお持ちの方はいませんか?
当社A1データは日本で初めてデータ復旧サービスを提供した会社です。データ復旧業界で最も古い業界の長だからこそ、業界のすべての会社の特徴やその会社の実態を把握しています。お客様の壊れた機器の症状と損傷具合から、適切な費用がどの程度でどの業者なら治せるのかをアドバイス致します。
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HDD(外付け・内蔵)障害が発生したら…慌てず冷静に!
HDDに不具合が発生してパソコンなどが正常に起動できなくなったら、「HDDに記録されているデータが全て失われたかもしれない…」と焦るのが当然です。しかし、データを正常に読み込めなくなってしまったHDDでも、保存されているデータを復旧できる可能性があります。
データ復旧を専門に行う業者があり、一般的に「データ復旧サービス」と呼ばれています。
あらかじめ「HDDのデータは復旧できる可能性がある」ということを知っておけば、いざというときにも冷静に対処できるでしょう。
ただし、HDDの故障原因はさまざまで、例えば、衝撃や水没など物理的な原因で故障した場合、HDD機器を開封しての原因調査や復旧作業が必要になって難度は上がります。ひとくちに「データ復旧サービス」といっても、故障原因や状況に応じて作業内容が異なり、必ずしもデータ復旧を保証してもらえるわけではないことは認識しておきましょう。
HDD(外付け・内蔵)障害の原因とよくある症状
HDDの故障には大きく分けて「物理障害」と「論理障害」の2つのタイプがあります。それぞれの障害の原因やよくある症状について概要を解説します。
物理障害の症状と原因
「物理障害」は、HDD機器に何らかの物理的な問題が発生して、HDDが動かなくなってしまうことをいいます。
物理障害の症状としては以下のものが挙げられます。
- 「ガガガッ」「ギギギッ」といった異音がする
- HDDがパソコンなどで認識されない
- (HDDが内蔵された)パソコンなどの機器から焦げた臭いがする
物理障害の原因のほとんどは「物理要因」と「環境要因」です。物理要因は、外部からの強い衝撃、水没、経年劣化などで、一方の環境要因は、高温・低温、結露、多湿、過電流、磁器異常などです。物理障害でHDDが正常に動作しない場合は、「データ復旧ソフト」などを使用した自力での復旧は難しいので「データ復旧サービス」に依頼をすることを推奨します。
論理障害の症状と原因
「論理障害」は、HDDは正常に動作しているものの、人為的なミスや、部分的なファイルシステムの欠損によって、データへのアクセスに不具合が生じている状況です。
論理障害の症状としては以下のものが挙げられます。
- 初期化(フォーマット)してしまった
- データを削除してしまった
- ブルースクリーンが表示され、パソコンが起動しない
- 外付けHDDを接続すると、フォーマットを要求される
論理障害の原因の一つは、人為的な誤操作です。誤って初期化をしてしまったり、データを削除してしまい、データを消失してしまうケースが該当します。
他にも、システムの起動に必要なファイルを誤って削除してしまったり、外付けHDDの安全な取り外しをせずにケーブルを抜いてしまったりすると、HDDが正常に動作しなくなることがあります。
もう一つの原因は、Windowsアップデートの失敗により、システムファイルが破損してOSが起動しなくなる、といったケースです。
いずれの原因でも、論理障害はHDDの物理的な不具合ではないので、消失データの検索や、ファイルシステムの修復によってデータが復旧可能なことが多い傾向です。論理障害の復旧方法は、「データ復旧ソフト」の利用と「データ復旧サービス」への依頼が挙げられます。
データ復旧サービスを比較するときの主なポイント
HDDの故障タイプが物理障害か論理障害かに関わらず、専門業者が提供する「データ復旧サービス」であれば、データ復旧の相談が可能です。ただし、「データ復旧サービス」は、業者ごとに技術レベルやサービスの質に差がある点に注意が必要です。
できるだけ安心・確実にデータ復旧をしてもらうためにも、事前にサービス内容を比較して最適な業者を選ぶようにしましょう。
ここからは、「データ復旧サービス」を比較するときに参考にしたい、主な比較ポイントについて解説します。
ポイント1:依頼したいメディアが対応しているか
各「データ復旧サービス」が対応可能なメディア(復旧したい記録媒体)は異なります。まずは、依頼したいメディアを取り扱っているかどうかの確認が必要です。
一般的に「データ復旧サービス」が取り扱っている主なメディアは以下の通りです。
- 外付け・内蔵HDD
- 外付け・内蔵SSD
- RAID(レイド)
- サーバー
- NAS など
また、専門業者によって次のようなメディアにも対応している場合があります。
- CD
- DVD
- MO
- カセットテープ
- USBメモリー
- SDカードなどのメモリーカード
- スマートフォン/フィーチャーフォン(ガラケー)※携帯電話会社の公式サービスあり
- タブレット端末 など
ポイント2:OSやファイルシステムが対応しているか
OSやファイルシステムに関しても、各「データ復旧サービス」の対応範囲が異なるので注意が必要です。
一般的に「データ復旧サービス」が取り扱っているOSは以下の通りです。
- MS-DOS/PC-DOS
- Windowsシリーズ
- Mac(Macintosh)シリーズ
- Unix
- NetWare など
スマートフォン用のOSとしては、Android、iOSがあります。また、OSごとに搭載されているファイルシステムも異なります。
主なファイルシステムの種類は、以下のようなものです。
- FAT
- exFAT
- ReFS
- NTFS
- HFS/HFS+ など
メディアと同様に、依頼する専門業者が該当するOSとファイルシステムに対応しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
ポイント3:データ復旧までの流れを明示しているか
データ復旧を依頼する際は、専門業者の公式Webサイトなどで、依頼から見積もり、データ返却まで、どのような流れで行うのかを明示している専門業者を選ぶのがおすすめです。ひとくちにデータ復旧の流れといっても、大雑把に記載されていることもあれば、ステップごとに詳しく説明されていることもあります。
依頼時の一般的な流れを簡単に説明すると以下のようになります。
<データ復旧依頼の流れ>
- 故障したメディアの送付(持ち込み・発送・オンライン)
- 初期調査の実施
- 調査結果の報告
- 見積もり(料金、作業期間など)
- 発注
- データ復旧作業
- データの引き渡し(直接受け取り・発送・オンライン)
それぞれのステップごとに明解な説明がなされている専門業者であれば、安心感があって依頼しやすいでしょう。
ポイント4:問い合わせや見積もりは無料対応しているか
「データ復旧サービス」は、専門業者ごとに設定している料金が異なります。また、同じ論理故障であっても、「軽度」「中度」「重度」といった障害レベルによって料金が変わるのが一般的です。
料金はデータ復旧を正式に発注して初めて発生するものですが、適切な専門業者の場合には、問い合わせや見積もりまでは無料で対応しています。見積もりを出すためには調査・診断が必要となるため、データ復旧が可能かどうかの現実的な判断までは、無料でできるわけです。
専門業者によっては、正式発注後にデータ復旧ができなかった場合には代金が発生しない契約や、追加費用が発生しない一律固定料金で提供していることもあります。
「見積もりを依頼したらキャンセルができないと言われた…」「見積もり時の説明と異なる追加料金を請求された…」といったトラブルを避けるためにも、無料対応について明示している専門業者を選ぶといいでしょう。
ポイント5:情報セキュリティの体制は適切か
データ復旧を第三者である専門業者に依頼する場合は、どのようなセキュリティ対策を行っているのかについても留意する必要があります。
依頼したいHDDなどに、個人であれば、パソコンなどで管理しているクレジットカード情報や家計簿、資産運用といった個人情報が記録されていることでしょう。法人であれば、企業の経営に関わる財務会計データや社外秘の事業計画資料、顧客データなどの大切な情報が記録されているかもしれません。
こうした大切な情報の漏えいや流出を防ぐためには、情報セキュリティ体制がしっかりした専門業者であることが不可欠といえます。
情報セキュリティ対策で信頼できる業者を見極めるためには、以下のような点を確認してみるといいでしょう。
- 公式Webサイトなどで、セキュリティ対策やセキュリティ方針について明示している
- データ復旧を行う場所で、物理的なセキュリティ対策を実施している
- 日本産業規格の「Pマーク」(プライバシーマーク)を取得している
- 国際標準規格の「ISO27001」(ISMS)を取得している
なお、認証規格のPマークとISO27001は同じ情報セキュリティに関するものですが、Pマークは個人情報に特化した規格で、ISO27001は個人情報も含む情報資産全般が対象領域の認証になります。
ポイント6:データ復旧率の高さ=技術レベルではない
「データ復旧サービス」では、復旧率の高さを謳い文句にして宣伝している場合があります。しかし、復旧率が高いからといって必ずしも技術レベルが高いとは言い切れないため注意が必要です。
そもそも、復旧率の算出方法は、業界統一の基準があったり法律で定められたりしているわけではなく、各専門業者がそれぞれの基準で復旧率を謳っています(※2022年7月現在)。
例えば、受注した件数のうち実際に復旧できた件数を復旧率とすることもできますし、1件のメディアのうち復旧できた領域の割合を復旧率として表現することもできます。また、軽度な障害を数多く手掛ける専門業者と、重度な障害をメインに取り扱う専門業者とでは、復旧率を計算する上での前提条件が全く異なるのです。
仮のケースを設定して、分かりやすく計算してみると下記のようになります。
■【データ復旧の成功件数/受注件数】の計算例
Aの例:80件/100件=80%の復旧率!
Bの例:8件/10件=80%の復旧率!
※成功件数が多い・少ないには関係なく同じ「80%の復旧率」になります。
■【データ復旧の成功容量/対象メディア全容量】の計算例
Cの例:4TB/5TB=80%の復旧率!
Dの例:4GB/5GB=80%の復旧率!
※復旧したデータ容量の多い・少ないには関係なく同じ「80%の復旧率」になります。
■【障害レベル別】の計算例
Eの例:重度レベルの障害100件のうち80件のデータ復旧に成功=80%の復旧率!
Fの例:軽度レベルの障害10件のうち8件のデータ復旧に成功=80%の復旧率!
※障害レベルとは関係なく同じ「80%の復旧率」になります。
このように、復旧率を数値として比較しただけでは、その専門業者の技術力が高いか低いかを確かめることはできません。実績事例や対応可能な障害の多さ、「お客様の声」なども参照して総合的な判断が必要でしょう。
<「データ復旧率」に関するデータ復旧業界の最新動向>
2022年7月8日、データ復旧業界の健全化を目指している一般社団法人日本データ復旧協会(DRAJ)は、「復旧率」や「復元率」といった文言で、データ復旧の成功率を宣伝するケースが多い現状を鑑み、『データ復旧サービスのガイドライン(案)』を発表しました。
この中で、「データ復旧率」という表記が招きやすい被害の状況や消費者トラブルへの見解、DRAJが提唱するガイドライン案について公表しています。今後、こうしたガイドラインが消費者や業界内に浸透することで、復旧率に対する適切な認識が広がることが期待されます。
「機器修理サービス」と「データ復旧サービス」は異なるので注意
「データ復旧サービス」と言葉が似ているサービスに「機器修理サービス」があります。一見、その違いが分かりにくい印象ですが、両社は全く異なるサービスなので注意が必要です。
HDDが故障した際、どちらを選択するべきか判断するために、それぞれのサービスの特徴を見てみましょう。
動作の回復が目的の「機器修理サービス」
「機器修理サービス」は、パソコンのHDDや周辺機器の機能・動作の回復を目的としたサービスです。故障したパーツを新品に交換するなどして修理を行い、正常に動作するようにします。動作の回復ができれば良いため、HDDなどに記録されたデータの復旧はサービス対象外になります。
例えば、正常化のために新しいHDDと交換したり、HDDを初期化したりすることもあり、元のHDDに保存されていたデータは消去されるのが一般的です。部分的なパーツの交換であっても、基本的にデータが残る保証はされないことが多いでしょう。
動作の回復ではなくデータを優先する「データ復旧サービス」
「データ復旧サービス」は、パソコンのHDDや周辺機器の機能・動作の回復が目的ではなく、記録されているデータを取り戻すことを目的としたサービスです。故障したHDDなどのメディアを調査・診断してデータ復旧作業を行いますが、取り戻したデータは別のUSBメモリーなどに移して返却されるのが一般的です。
例えば、HDDを「データ復旧サービス」に依頼した場合、データ以外のHDDケースや中身の部品などを修理してくれるわけではありません。
万一の際も比較ポイントを参考に最適な専門業者を選ぼう!
ひとくちにHDDの故障といっても、その原因や程度はさまざま。障害レベルが軽度であったとしても、「論理障害」なのか「物理障害」なのかによっても対処法が異なります。
永遠にデータを消失してしまうリスクがあるため、本当に大切なデータは安易に自分での復旧は試みないようにしましょう。ここで紹介した「データ復旧サービス」の選び方のポイントを参考に、専門業者への依頼を検討するのがおすすめです。