RAID5とは?仕組みやRAID6との違いを解説!データ復旧する際の注意点も
「RAID」(レイド)は、複数のHDDを1つのドライブのように認識・表示できる技術です。サーバを安定稼働させて信頼性を高めることができ、いくつかの種類(レベル)があります。
そこで今回は、RAIDレベルのうちの「RAID5」と「RAID6」の仕組みをはじめ、メリットとデメリット、故障した際のデータ復旧時の注意点などについて詳しく解説します。
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RAIDとは?
そもそも「RAID」とは、ひとことで言えば「複数のHDD(ハードディスクドライブ)を1つのドライブのように認識・表示させる技術」のこと。サーバを安定稼働させ、信頼性を高める技術として、企業・製品サイトなどのビジネスシーンに利用されています。
簡単にRAIDの特徴と種類(レベル)について挙げると以下のようになります。
<RAIDの主な特徴>
- 複数のHDDに分散してデータを記録(書き込み・読み込み)することで高速化が図られる
- RAID内のHDDが故障したときでも、故障したHDDを交換すればデータ復旧が可能
- 故障時や復旧中でも、問題がない他のHDDは稼働するため、サーバ稼働の安定化につながる
<よく使われるRAIDの種類(レベル)>
- RAID0(ストライピング)
- RAID1(ミラーリング)
- RAID5(分散パリティ)
- RAID6(複数分散パリティ)
- RAID10/RAID1+0(RAID1とRAID0を組み合わせた方式)
それぞれのRAIDレベルにはメリット・デメリットがあります。次項からは、本題であるRAID5とRAID6について、詳しく見ていきましょう。
RAID5(分散パリティ)とは?仕組みの基礎知識
RAID5(分散パリティ)の特徴は、HDDの最低本数が3台以上で構成され、データを3台以上のHDDに分散(ストライピング)して格納し、同時に「パリティ」(誤り訂正符号)データを生成して保存する点にあります。
このパリティデータとはエラーを修復するための冗長データのことで、RAID内のHDDが1台故障しても、パリティ値から元のデータを復旧できる仕組みとなっています。
これにより、万一、障害が発生した際でもパリティからのデータ復旧ができるため、システムの信頼性が高まるのです。
RAID5(分散パリティ)の主なメリット
RAID5(分散パリティ)の主なメリットとして、HDDを増やせば処理速度と容量を改善できることと、冗長性(耐障害性)が確保されていることが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
HDDを増やせば処理速度と容量を改善できる
RAID5では複数のHDDにデータを分散して保存しますが、読み込みの際にも複数のHDDへ並列で同時にアクセスが行えます。そのため、読み込み処理の速度が向上するのです。HDDを増やすほど書き込みデータが分散して記録され、読み込み時のアクセス速度が増します。
さらに、RAID5では複数のHDDを1つの大容量ドライブとして扱えるため、HDDを増やすほど大容量のストレージとなり、データの一括管理を要するケースで活躍するといえるでしょう。
冗長性(耐障害性)が確保されている
RAID5は複数のHDDに分散してデータとパリティを書き込みます。もし仮に1台のHDDが壊れてしまった状態だったとしても、残りのHDDが無事であれば稼働を継続することが可能です。つまり、冗長性が確保され、システムの安定稼働を実現し信頼性を高めることができます。
「RAID0」や「RAID10(0+1)」でもデータを分散して記録しますが、いずれもパリティを生成しないため、1台のHDDが障害を起こすと全てのデータが失われてしまうことが大きな違いです。
RAID5(分散パリティ)の主なデメリット
RAID5にはメリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットを挙げると、パリティ保存のための容量が必要なこと、2台以上のHDDが故障すると復旧が難しいことです。
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
パリティ保存のための容量が必要
RAID5はパリティデータを使ってHDDのデータを復旧できますが、そのパリティデータの保存のための容量が必要です。例えば、HDDを4台使う構成の場合、HDD1台分の容量はパリティデータを格納するために使われ、HDD3台分の容量しか使えません。なお、パリティの保存に必要な容量は全HDDの台数に関係なく1台分となるので、HDDの台数を多くすることで容量の利用効率は向上します。
2台以上のHDDが故障すると復元が難しい
RAID5では3台以上のHDDを使いますが、2台以上のHDDが一度に故障してしまうと、データの復元が難しくなってしまいます。パリティから元データを復元する際に、欠けても良い分散データは1つだけだからです。そのため、基本的には2台以上のHDDが障害を起こした場合には、「データ復旧サービス」の専門業者などへの依頼が推奨されます。
RAID6(複数分散パリティ)とは?仕組みの基礎知識
RAID6(複数分散パリティ)は基本的にはRAID5と同様の技術ですが、RAID6では4台以上のHDDを使用する点と、「パリティを二重に生成し、異なるディスクに分散して記録する」という点が異なります。RAID5よりも耐障害性を向上させたものがRAID6といえるでしょう。
安定性の高さを求めるのであれば、RAID5よりもRAID6の方が適しています。ただし、コスト面ではRAID5の方が済むケースが多いので、安定性と予算のバランスを考慮した上で選択することになります。
RAID6(複数分散パリティ)の主なメリット
RAID6の主なメリットとしては、RAID5と同じくHDDを増やせば処理速度と容量を改善できることと、HDDが2台故障しても稼働できることが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
RAID5と同じくHDDを増やせば処理速度と容量を改善できる
RAID6はRAID5と同様に、複数のHDDへ分散して保存したデータへ同時にアクセスできるため、読み込みの処理速度が向上します。単純にHDDを増やしていくと、読み込み速度や容量はアップするのです。ただし、HDD台数を増やせば増やすほど金銭的なコストや管理するコストが増えるので、適切な台数を検討する必要はあります。
HDDが2台故障しても稼働できる
RAID5ではHDDが2台以上故障するとデータの復元ができなくなってしまいますが、RAID6では2台のHDDが壊れてもパリティを二重に保有しているため、データ復元が可能というメリットがあります。例えば、HDD4台で構成している場合、2台が故障しても、残った2台のいずれかにパリティデータが存在していればデータ復元が可能です。この点でRAID5よりも冗長性が高いといえます。
ただし、この構成の場合、3台以上のHDDが故障するとデータの復元が不可能となる点に注意が必要です。
RAID6(複数分散パリティ)の主なデメリット
RAID6はその特徴である冗長性が、逆にデメリットとなり得ます。主なデメリットとして、障害や故障に気づきにくいことや、構成には最低でも4台のHDDが必要になることが挙げられます。
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
障害や故障に気づきにくい
RAID6はHDDが2台まで故障しても稼働できるため、障害が起きたことに気づかないまま使い続けてしまう場合があります。3台目のHDDが壊れて初めてシステムが稼働しなくなるため、ある日突然、致命的な障害が起きてしまうというケースもあり得るのです。
こうした事態を避けるためには定期的にHDDの状態を確認して、1台でも壊れているという場合は、その時点で早急に対処する必要があります。
最低でも4台のHDDが必要となる
RAID6の構成には最低4台のHDDが必要です。稼働安定性の高さはあるものの、その分HDD導入のコストや管理コストがかさみます。どのようなデータを取り扱うかによって、RAID6を導入すべきかを検討するべきです。決して消失してはいけない重要データの場合はコスト度外視で耐障害性を確保しなければなりませんが、そこまで重要でないデータの場合はRAID5を選ぶのもいいでしょう。
RAID5とRAID6の違いは?両者の特徴を比較
RAID5とRAID6について説明してきましたが、どういったデータを取り扱うのか、予算はいくらかといった条件によって、どちらが適しているのかが変わってきます。
両者の主な特徴を比較すると、下表のようになります。
■RAID5とRAID6の特徴比較表
RAID5 | RAID6 | |
必要なHDD台数 | 3台以上 | 4台以上 |
パフォーマンス | ・読み込み速度の高速化 ・パリティデータを生成するため、パリティのない他のRAIDと比べて書き込み速度は低下する | ・読み込み速度の高速化 ・パリティデータを二重に生成するため、書き込み速度はRAID5よりも低下する |
安全性 | 同時に2台以上が故障するとデータ回復はできない | 同時に2台のHDDが故障してもデータ復元が可能 |
ストレージ(HDD)容量 | HDD4台の場合、保存可能な容量はHDD3台までで、残り1台はパリティ用 | HDD4台の場合、保存可能な容量はHDD2台までで、残り2台はパリティ用 |
ここからは、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
必要なHDD台数の違い
RAID5では最低3台のHDDが必要になるのに対して、RAID6ではRAID5よりも1台多い最低4台のHDDが必要です。RAID6の方が用意するHDDが多いため導入コストや手間は増大しますが、多くのHDDにデータを分散させる上に、パリティが二重になることから故障時のデータ復元が容易になります。
パフォーマンスの違い
RAID5とRAID6のいずれも読み込み速度は高速化できますが、HDDに故障が発生した際のデータ復元処理速度には差が生じます。データ復元時はパリティデータから元データを復元・生成して処理するため、よりパリティデータが多いRAID6の方が遅くなる傾向です。
また、書き込みにおいては、パリティ計算がない他のRAIDレベルよりも処理速度が低下します。特にRAID6については二重にパリティを生成するため、RAID5よりも書き込み速度が低下します。
安全性の違い
RAID5とRAID6は似たような仕組みとなっているものの、作り出したパリティの書き込みが一重か二重かという点で、双方の安全性は異なります。RAID6はパリティを二重に生成し、2台のHDDへ分散して書き込みます。そのため、2台のHDDが故障しても、残りのHDDにパリティデータが残っていれば運用の継続が可能です。
一方、RAID5は1つのパリティデータをいずれか1台へ保存します。1台が故障しても、残りの2台に分散したデータとパリティを組み合わせればデータの復元が可能です。しかし、HDD3台のうち2台が故障すると復元に必要な分散データが不足し、システムの稼働を継続できなくなります。
取り扱うデータの種類にもよりますが、障害に強いHDDを最優先にしたいという場合については、RAID6の利用がおすすめです。
RAID5でデータ復旧する際の注意点
データの復旧ができる状態になっても、実際の手順を間違えると全てのデータを失いかねません。データを復旧しようとする際の注意点を知っておきましょう。
HDDの順番は入れ替えない
RAID5は複数のHDDにデータを分散して保存しますが、記録するHDDの順番には一定の規則があります。スロットに挿入されたHDDを安易に抜き差しして順番を入れ替えてしまった場合、記録された情報の整合性がとれなくなってしまいます。そのため、故障時にもHDDの順番は入れ替えないようにしましょう。
RAIDレベルを変更しない
HDDの中には機器本体にあるスイッチやレバーから、RAIDレベルを変更できる場合があります。この切り替えを行うと、現在のRAIDが初期化されて新たなRAIDを再構築するため、元の情報がフォーマットされてしまいます。知らずにRAIDレベルを変更してフォーマットしてしまうと、データ復旧の難度が高くなってしまうため、安易にRAIDレベルの変更を行ってはなりません。
安易にリビルド(データ復元)しない
RAID5を構成しているHDDは、基本的に同時期に製造されたものが多い傾向があるため、1台のHDDが故障したケースでは他のHDDも実は壊れかけているという場合があります。その状態でリビルド(データ復元)をかけた場合、壊れかけていたHDDがリビルドをきっかけにして完全に故障してしまうことがあるのです。
HDDの故障が発生することでリビルド自体が失敗する、または終わらないといったトラブルにもつながりかねません。リビルドに失敗するとデータ消失してしまうこともありますので、リビルドは極力行わないよう注意しましょう。
安易にフォーマットしない
故障したHDDを検証するために単体でパソコンに接続すると、「フォーマットする必要があります」というエラーメッセージが表示される場合があります。壊れている状態をどうにかしたいと考えて、このメッセージに従ってしまう方もいるようです。
しかし、このメッセージに従ってHDDをフォーマットすると、保存されているデータが全て消えてしまうため、安易にフォーマットを実行してはいけません。復旧したいデータがあるという場合はフォーマットを行わず、まずは「データ復旧サービス」専門業者へ相談しましょう。
メリットとデメリットを理解した上でRAID5を使おう
RAID5とRAID6は、データを記録する仕組みや、パリティを生成・保存してデータ復元するという点では似ています。
しかし、ここでご紹介したようにRAID5とRAID6とを比較すると、安全性はRAID6の方が高く、コストパフォーマンスの面ではRAID5の方が優れているという特徴があります。それぞれのメリット、デメリットを理解した上で、最適なRAIDレベルを選ぶようにしましょう。
また、RAIDで使用しているHDDに不具合や故障が発生した際は、RAIDのデータ復旧・復元のスペシャリストのA1データにお任せください!データの重要性などを考慮してRAIDレベルを選びましょう。