RAID0とは?RAID1との違いやRAID0でデータ復旧する際の注意点も解説
各種Webサービスや社内ツール開発などでサーバを構築する際、安定稼働のための対策やバックアップ方法は重要なポイントになります。そこで採用を検討されるのが「RAID」(レイド)という方式です。
RAIDにはいくつかの種類がありますが、今回は「RAID0」と「RAID1」の仕組みをはじめ、故障した際のデータ復旧時の注意点などについて詳しく解説します。
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RAIDとは?
そもそも「RAID」とは、ひとことで言えば「複数のHDD(ハードディスクドライブ)を1つのドライブのように認識・表示させる技術」のこと。サーバを安定稼働させ、信頼性を高める技術として、企業・製品サイトなどのビジネスシーンに利用されています。
簡単にRAIDの特徴と種類(レベル)について挙げると以下のようになります。
<RAIDの主な特徴>
- 複数のHDDに分散してデータを記録(書き込み・読み込み)することで高速化が図られる
- RAID内のHDDが故障したときでも、故障したHDDを交換すればデータ復旧が可能
- 故障時や復旧中でも、問題がない他のHDDは稼働するため、サーバ稼働の安定化につながる
<よく使われるRAIDの種類(レベル)>
- RAID0(ストライピング)
- RAID1(ミラーリング)
- RAID5(分散パリティ)
- RAID6(複数分散パリティ)
- RAID10/RAID1+0(RAID1とRAID0を組み合わせた方式)
それぞれのRAIDレベルにはメリット・デメリットがあります。次項からは、本題であるRAID0とRAID1について、詳しく見ていきましょう。
RAID0(ストライピング)とは?仕組みの基礎知識
RAID0(ストライピング)とは、2台以上のHDDを1つのドライブのように扱い、ブロック単位に分割したデータを複数のHDDへ分散して記録する方式です。複数のHDDに同時に並行してアクセスすることで、データの記録速度を高速化する仕組みになっていて、構成するHDDの本数が増えるほど高速化します。
ただし、RAID0を構成する各HDDにはデータの一部分しか記録されないため、1台でもHDDが故障するとデータの読み書きができません。そのため、バックアップを確保できる他のRAIDレベルと組み合わせて使う傾向にあります。
RAID0(ストライピング)の主なメリット
RAID0(ストライピング)のメリットは、複数のHDDに分散してデータを記録するので処理速度を高速化できることと、構成するHDD全体の容量を最大限使用できることです。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
データの処理速度が速い
RAID0は、データを複数のHDDに分割して、かつ同時並行で記録するため、データアクセスの高速化を図ることができます。
例えば、2GBのデータを1台のHDDに対して記録するために必要な時間と、2台のHDDに対して1GBずつ分散して記録するために必要な時間では、一般的に考えて2台の方が短時間で済むでしょう。
読み込みにおいても、同時に複数のHDDへアクセスできるため、処理時間が短縮されます。HDD台数を増やすほど、その分データ処理を分割して行えるため、さらに高速処理が可能となるのです。
HDDの容量を最大限に使うことができる
HDDの使用方法はRAIDレベルによって異なり、RAID0は、RAIDの中でもHDDの容量を最大限に活用できる方式です。当然のことと思われるかもしれませんが、RAID0で1TBのHDDを2台使用して構成した場合、記録できるデータ量は2TBです。
しかし、他のRAIDレベルでは、1TBのHDDを2台使用しても、記録できるデータ容量が半減する場合があります。
RAID0(ストライピング)の主なデメリット
残念ながらRAID0(ストライピング)の特徴はメリットばかりではありません。冗長性がないことによる安全性の問題や、高速化に対するリスク、データ復旧が難しい点などの課題が存在するのです。
ここからは、RAID0の主なデメリットについて解説します。
冗長性がないため安全性が低い
そもそもRAIDとは英語で「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」で、日本語に直訳すれば「安価な複数のディスクによる冗長な配列」という言葉の頭文字を取ったものです。つまり、RAIDの言葉の意味としては、本来、冗長性を確保するために複数のディスクを使用することを表しています。
なお、システムにおける「冗長性」とは、システムの安定性を高めるために、あらかじめ予備のシステムをサーバやネットワークに組み込んで、余裕がある状態にしておくことを指します。
この冗長性の観点で見ると、RAID0ではデータを分割して全てのHDD上へ分散させて記録しているだけで、冗長性がありません。RAID内のHDDが1台でも故障するだけでデータの読み書きができなくなります。
HDDの数が多いほどデータ損失リスクが高くなる
RAID0では、HDDを2台使用するよりも、3台、4台と増やすことでデータをより分散させて記録し、データへのアクセスを高速化できるというメリットがあります。
しかし、先に説明したようにRAID0には冗長性がないため、RAID内のHDDが1台でも故障した場合には、分割していたデータを全て失ってしまう恐れがあるのです。構成するHDDの数を増やすほど、そのリスクが高まってしまいます。
リビルド(データ復元)ができない
「リビルド」とは、RAIDを構成するHDDの1台が故障した場合、その他のHDDにあるデータを元に、新しいHDDへデータを復元・再構築することです。
これは本来、RAIDが冗長性を持っているという前提で成り立つ作業となります。つまり、複数のHDDへ同一データを複製して記録するRAIDレベルを採用していれば、リビルドによる復旧が可能なのです。しかし、先に触れたようにRAID0には冗長性がないため、リビルドを行えません。
RAID1(ミラーリング)とは?仕組みの基礎知識
続いては、RAID1(ミラーリング)について見ていきましょう。RAID1とは、通常2台のHDDで構成し、2台へ同一データを書き込むRAIDレベルです。そのため「鏡写し」という意味でミラーリングと呼ばれます。
RAID1はバックアップ技術と勘違いされがちですが、バックアップの手段ではありません。なぜなら、同一データを2台のHDDに同時に記録するがゆえに、誤ったデータで上書きされた場合でも2台同時に実行されてしまうからです。
HDD構成としては最もシンプルな仕組みでありながら、耐障害性が高いのが特徴です。ただし、2台のHDDに同じデータを持つため、扱えるデータ容量は構成するHDD全体の容量の半分以下になります。
RAID1(ミラーリング)の主なメリット
RAID1(ミラーリング)は、通常2台のHDDへ同一データを記録することから、冗長性が確保されます。そのため、データの復旧が容易になるという点がメリットです。
このメリットについて詳しく見ていきましょう。
データの復旧が簡単にできる
RAID1の最大のメリットは2台のHDDによるミラーリング、つまり「冗長化」です。構成しているHDDの1台が故障しても、残りの1台でシステムの稼働が可能となります。
また、通常は故障したHDDの交換時にシステムのシャットダウンが必要になりますが、RAIDコントローラーや電源、ファンなどがホットスワップ機能(各機器を稼働させながらケーブルなどの接続が可能な機能)に対応していると、通電した状態でもHDDの交換が可能です。
RAID1(ミラーリング)の主なデメリット
冗長性を持つRAID1(ミラーリング)ですが、2台のHDDに同一データを記録する際に生じるデメリットは避けられません。このデメリットについてご説明します。
ディスク容量が半分以下になりデータの処理が低下する
RAID1は通常2台のHDDで構成されますが、双方が常に同じデータを記録しているため、使用できるデータ容量はHDD1台分です。例えば、2TBのHDDを2台使用したRAID1では、全体容量が4TBとなりますが、実際に使用できるのは半分の2TBになります。
また、データ読み込み時は2台のHDDへ同時にアクセスできるので、読み込み速度は向上します。しかし、2台のHDDへ同時に書き込みをするため、書き込み速度は遅くなってしまう点がデメリットです。
RAID0とRAID1の違いは?両者の特徴を比較
RAID0とRAID1では、パフォーマンスや信頼性が大きく異なります。また、これまで見てきたように、HDDに記録するデータ構成や容量も同じではありません。
両者の主な特徴を比較すると、下表のようになります。
■RAID0とRAID1の特徴比較表
RAID0 | RAID1 | |
パフォーマンス | 高速化が図られる | 2台へ同時に記録するため高速性は不利 |
安全性 | 1台でもHDDが故障するとデータ読み書きができない | 1台故障しても稼働でき信頼性が高い |
データ構成 | 全HDDへデータを分散して記録(ストライピング)する | 2台のHDDに同一データを複製して記録(ミラーリング)する |
ストレージ(HDD)容量 | 全容量を使用できる | 全容量の半分になる |
ここからは、それぞれの違いについて詳しく見てみましょう。
パフォーマンスの違い
RAID0とRAID1を比較した場合、一般的にRAID0の方が高速性は優位になるといわれています。特に書き込み速度では差が生じやすく、RAID1は2台同時に同じデータを書き込まなければならない分、不利になります。
また、RAIDを使用しない単一のHDDと比べた際も、複数のHDDを使用するRAID0の方が高いパフォーマンスを発揮すると考えていいでしょう。
信頼性の違い
RAID0は冗長性を確保していないため、信頼性の観点ではRAID1に軍配が上がります。複製となるHDDを持つRAID1では、構成しているHDDが故障した場合でもシステムの運用が停止するリスクが低いのです。
さらに、先にも説明したようにホットスワップ機能に対応していれば、故障時でさえシステムをシャットダウンせずに行えます。
データ構成の違い
RAID0とRAID1では、記録されるデータ構成が全く異なります。RAID0では、ブロック単位に分割したデータを全HDDへ分散して記録(ストライピング)します。一方、RAID1はデータの分割・分散記録はせず、同一データを複製して記録(ミラーリング)します。
ストレージ容量の違い
RAID0とRAID1では、データ構成と同様にストレージ容量の見え方も異なります。RAID0のストレージ容量は、個々のストレージ、つまりHDD容量の合計です。1TBのHDDを2台使用して構成した場合、記録できるデータ量は2TBとなり、RAID0を構成するHDDを3台、4台と増やせばストレージ容量はその分増大します。
一方、同一データのミラーリングを行うRAID1では、基本的にストレージ容量が半減します。RAID0と同じように1TBのHDD2台で構成した場合でも、記録できるデータ容量は1TBしかありません。
RAID0でデータ復旧する際の注意点
冗長性がないRAID0は、完全なリビルドができません。しかし、必ずしもデータ復旧が不可能というわけではなく、故障の原因が論理障害であれば復旧できる場合があります。
そもそもHDDの障害タイプは「物理障害」と「論理障害」の2種類に分けられます。
「物理障害」は、HDDが破損したり、寿命を迎えたりするなど物理的な要因による障害です。一方「論理障害」は、物理的な故障はなく、ファイルシステムの部分的な破損によってデータが読み込めないなどの障害が生じている状態です。HDDをフォーマットしたり、データを削除したりなど、人為的なミスなどの場合も論理障害に該当します。
ここからは、RAID0でデータ復旧する際の注意点についてご説明します。
安易にフォーマットしない(論理障害の場合)
論理障害が生じた際に、HDDを調査するためにパソコンへ接続することがあります。このとき「フォーマットしますか?」などのメッセージが表示されても、安易にフォーマットを行ってはなりません。フォーマットしてしまうと、その時点で全てのデータが消去されてしまうからです。
安易にリビルドしない(論理障害の場合)
故障したHDDをRAIDに戻すときも注意が必要です。電源がついている状態でHDDを接続すると、自動的にリビルドを開始してしまう場合があるからです。リビルドが開始されてしまうと、HDDの内容が書き換えられてしまいます。安易なリビルドを実行してしまい、故障時の状態より悪化するケースも少なくありません。
自分で復旧しようとしない(物理障害の場合)
HDDにおける物理障害とは、いわゆる一般的に「故障」と呼ばれる状態です。劣化や寿命、落下などの強い衝撃、水漏れ、雷サージなどが原因として考えられます。このような故障は、一般ユーザーでは復旧が不可能です。
物理障害が発生したHDDから必要なデータを復旧させたい場合は、メーカーやデータ復旧の専門業者に相談することを推奨します。
メリットとデメリットを理解した上でRAID0を使おう
複数のHDDを組み合わせて構成するRAIDですが、RAID0とRAID1では、データ構成やHDDの使われ方が大きく異なります。データの記録方法が異なり、万一の際のデータ復旧方法にも注意が必要です。それぞれのメリット、デメリットを踏まえた上で、最適なRAIDレベルを採択しましょう。
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